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さいたま市浦和区を拠点とする「杉本聖税理士事務所」は、顧問業務から医療法人支援まで、実務の積み重ねによって専門領域を広げてきた税務・会計のプロフェッショナルチームです。 企業や個人事業者、医療法人など、関与する顧問先の形態やフェーズが異なるなかで、扱う情報や判断の前提が一様ではなく、業務の進め方や情報管理のあり方が、同事務所におけるオペレーション上の課題となっていました。 そうした状況を受けて、業務管理や顧客対応の在り方を見直し、DXへの取り組みの一環としてTaxDomeの導入を決定。顧客情報、資料、進捗状況を一つの基盤に集約することで、日々の業務を事務所全体で把握できる体制づくりを進めています。 今回お話を伺ったのは、同事務所の代表税理士である杉本聖さん、シニアコンサルタントの松原勇太さん、そしてTaxDome導入・運用を推進してきた池上純平さんの3名です。実際の現場でTaxDomeを活用している立場から、導入の背景や運用の工夫、使い続けるなかで見えてきた変化、そして現在も試行錯誤している点についてお話しいただきました。 医療・建築分野に強みを持つ事務所だからこそ直面した情報管理の課題 杉本聖税理士事務所の特徴としてまず挙げられるのが、医療関係と建築関係に強みを持っている点です。法人顧問や個人の税務対応を軸としながら、単なる申告業務にとどまらず、事業全体の状況を踏まえた関与を行ってきました。近年はM&A事業にも取り組んでおり、税務・会計の枠にとらわれず、経営判断に関わる領域まで支援の幅を広げています。また、制度改正や新しいルールへの対応についても、顧問先任せにするのではなく、事務所として理解を深めたうえで、分かりやすく伝える姿勢を重視してきました。 こうした取り組みは、顧問先対応にとどまらず、外部向けの学習会やセミナーといった形でも表れています。インボイス制度のように実務への影響が大きいテーマについて、事業者向けに解説を行う機会を設けることで、制度理解を前提とした支援を行ってきました。 一方で、医療関係や建築関係の顧問先では、freeeやマネーフォワード クラウドといった会計ソフトを利用しているケースも多く、顧問先ごとに前提となるデータや管理方法が異なります。そのなかで、税務・会計ソフトとは別に、顧問先とのやり取りや資料、進捗状況をどこで管理するかという点が、事務所側の課題として次第に浮かび上がってきました。 このように、専門性の高い顧問先を支えるなかで、同事務所が扱う情報量や判断材料は年々増えています。どの資料が最新なのか、誰がどこまで対応しているのかをすぐに確認できない状態は、業務の効率だけでなく、判断の正確性にも影響します。そのため同事務所では、業務の進め方や情報管理のあり方を、事務所全体としてあらためて見直す必要性を感じるようになっていきました。 情報分散への不安から、一元化という方針へ TaxDome導入以前、杉本聖税理士事務所では、顧客とのやり取りや資料、進捗状況が複数のツールに分かれて管理されていました。顧問先からの連絡はメールやチャットツール、資料はクラウドストレージや紙といった形で散在し、「どこを見れば、今必要な情報がそろっているのか」を確認する作業が、日常業務のなかで少なからず発生していたといいます。 特に、医療や建築といった分野では、判断に必要な情報が断続的に発生します。過去のやり取りや資料を参照しながら意思決定を行う場面も多く、情報が分散している状態は、そのまま確認漏れや行き違いのリスクにつながりかねません。杉本さんも、そうした状況を踏まえ、業務そのもの以前に「必要な情報を確実に把握できる状態」を整える必要性を感じるようになっていたといいます。 そうした状況を受けて、同事務所のなかで次第に意識されるようになったのが、「すべてを一元的に把握できる状態」をつくることでした。単にツールを減らす、あるいは新しいツールを導入することが目的ではなく、必要な情報が一か所に集まり、誰が見ても同じ前提で状況を把握できること。その状態を実現することが、業務改善の軸として明確になっていきました。 検討の過程では、Notionの活用を継続する案や、Google Driveを中心とした運用に切り替える案に加え、MyKomonについても情報収集を行っていました。既存の業務フローやスタッフ構成、将来的な事務所の規模感を踏まえながら、「顧客情報、資料、進捗、やり取りを一つの画面で把握できるかどうか」という視点で比較検討を進めていったといいます。 と、杉本さんは語ります。 ツールを増やして管理を複雑にするのではなく、情報を見る場所を一本化する。その方針に最も合致した選択肢として、TaxDomeの導入を決定しました。 情報を見る場所を一本化する判断 TaxDome導入前、同事務所ではNotionを用いてタスク管理や情報整理を行っていました。業務を整理するうえで一定の役割は果たしていたものの、顧客情報や資料、顧問先とのやり取りまでを一元的に集約できていたわけではありません。結果として、「タスクはNotion」「資料はクラウドストレージ」「やり取りは別のツール」といった形で、情報の所在が分かれている状態が続いていました。 TaxDomeの導入を決めたあとも、すべてを一気に切り替えたわけではありません。池上さんは、「最初から完璧な形を目指すのではなく、まずは情報を見る場所を一つにすることを優先しました」と話します。どの資料が最新なのか、どこを見れば進捗が分かるのか。その“起点”をTaxDomeに置くことを意識し、少しずつ運用を移行していきました。 現在も、紙で受け取った資料をTaxDomeに取り込み、外出先や別のスタッフでも同じ情報を確認できる状態を整える作業が続いています。すべてが完全に移行できているわけではないものの、「TaxDomeを見れば、今の状況が分かる」という共通認識が事務所内に生まれつつあります。 この進め方について杉本さんは、「一気に変えるよりも、まずは集約する場所を決めることが大事だと思いました」と話します。ツールを使いこなすことよりも、情報が散らばらない状態を作ること。その考え方が、同事務所のDXの進め方を特徴づけています。 人が増えるなかで求められた共有基盤 TaxDome導入当時は4人体制だった事務所も、現在では7名ほどに増えています。人が増えることで対応できる業務の幅は広がる一方、業務内容や関与範囲が多様化し、情報共有や引き継ぎの重要性も高まってきました。 そうしたなか、最近では社会保険労務士のスタッフが新たに入社しましたが、入社日からTaxDomeを使って業務に入れる状態が整えられていました。顧問先の基本情報や進捗、これまでのやり取りをTaxDome上で確認できるため、個別に背景を説明しなくても、業務の全体像を把握しやすかったといいます。 このように、新しく加わったメンバーが早い段階から業務に関われる環境が整っていることは、TaxDomeが単なる業務支援ツールではなく、事務所全体を支える基盤として機能し始めていることを示しています。特定の担当者しか分からない情報を減らし、誰が見ても同じ前提で業務を進められる状態が、日々の運用のなかで少しずつ定着してきました。 人員構成や取り扱う業務領域が変化するなかで、TaxDomeは「まずここを見れば状況が分かる」場所として位置づけられつつあります。事務所運営を支える共通の業務インフラとして、その役割は徐々に明確になっています。 現場で感じている使いやすさ TaxDomeを使い続けるなかで、同事務所では、業務の進め方そのものに少しずつ変化が生まれています。特徴的なのは、「何かあれば、まずTaxDomeを見る」という行動が、事務所内で自然に定着してきている点です。顧問先に関する情報や資料、過去のやり取りを確認する際の起点が一つに定まったことで、確認のための動きがシンプルになりました。 杉本さんは、「Google Driveのような感覚でファイルを探せる点は分かりやすい」と話します。顧問先ごとに情報が整理されているため、必要な資料にたどり着くまでに迷う場面が減り、業務のテンポが崩れにくくなったと感じています。とりあえずTaxDomeを開けば、必要な情報がある。その感覚が、日常業務を支えています。 ファイル管理の面では、池上さんも使い勝手の良さを評価しています。 と、池上さんは語ります。 紙で受け取った資料も含めてTaxDomeに集約していくことで、情報の置き場所に悩むことが少なくなりました。 松原さんは、顧問先とのやり取りの面で変化を感じています。TaxDomeのチャット機能を使うことで、やり取りの履歴が文脈ごとに残り、後から確認しやすくなりました。「メールよりも流れが追いやすく、過去のやり取りを探す時間が減りました」と話します。顧問先側も、メールよりチャットを好むケースが多く、コミュニケーションの負担が軽くなっていると感じています。 こうした日々の使い勝手の積み重ねによって、TaxDomeは単なる新しいツールではなく、「業務を進めるための前提」として受け入れられつつあります。また、ツールとして直感的に使える点が、事務所内で無理なく定着している理由の一つだとのことです。 進捗管理と対応漏れの防止 日常業務の起点がTaxDomeに集約されるなかで、進捗管理の面でも変化が生まれています。現在、同事務所ではTaxDomeのパイプライン機能を活用し、月次業務や年末調整といった定常業務の流れを管理しています。複数の顧問先、複数の業務が同時に動く状況でも、「今どの案件が、どの段階にあるのか」を一覧で把握できることが、業務を進めるうえでの支えになっています。 杉本さんは、「誰が、どの作業を担当していて、どこで止まっているのかが見えるようになったことで、確認のためのやり取りが減りました」と話します。進捗を感覚や記憶に頼るのではなく、状態として共有できるようになったことで、繁忙期であっても全体を見渡しやすくなったと感じています。 あわせて活用しているのが、定期ジョブやリマインドといった自動化機能です。役員賞与の事前確定など、対応のタイミングを逃すと影響が大きい業務についても、あらかじめ設定しておくことで、個人の記憶に頼らず対応できるようになりました。「忙しい時期ほど、こうした仕組みがあることの安心感は大きいですね」と杉本さんは語ります。 TaxDomeのタスク管理について、 と、松原さんは語ります。 やるべきことが明確になり、対応漏れを気にせず業務に向き合える点が、日々の実務を支えています。個人の注意力に頼らず、ツール側で自然にフォローされている感覚があることも、日常の業務のなかで実感している変化の一つです。 今後を見据えた運用の考え方 顧問先側のTaxDomeの利用状況についても、同事務所では徐々に変化が見られています。杉本さんによると、顧問先のなかでも医療関係や建築関係の顧問先では、TaxDomeを通じたやり取りが比較的スムーズに進んでいるとのことです。特に建築関係では、比較的若い経営者が多いこともあり、アプリの導入やチャットでのやり取りに対する抵抗感が少なく、TaxDomeの利用が自然に広がってきています。 一方で、すべての顧問先が同じペースで新しいツールに移行できるわけではありません。これまでLINEやメールでのやり取りに慣れている顧問先については、現在も併用する形を取っています。無理に利用方法を切り替えるのではなく、顧問先ごとの状況やスタイルを踏まえながら、段階的にTaxDomeを使ってもらう。その進め方が、結果として混乱を生まず、安定した運用につながっていると感じています。 資料の受け渡しについては、TaxDomeのチャット機能での添付や、ファイルアップロードを活用しています。新機能のひとつである顧客リクエスト機能については、現時点では本格的な運用には至っていませんが、今後の業務改善に向けた選択肢の一つとして検討しています。顧問先とのやり取りのなかで、無理なく活用できる形を見極めながら、段階的に取り入れていく方針です。 顧問先との接点を一気に切り替えるのではなく、日常のやり取りの延長線上で少しずつTaxDomeに慣れてもらう。その姿勢が、同事務所における顧問先対応の基本になっています。 事務所の成長とDXへの向き合い方 TaxDomeを導入してから初めての繁忙期を迎えるなかで、業務の一元管理が日々の実務を支えている一方、業務内容によっては、従来の管理方法と併用している部分もあります。個人の確定申告業務については、現時点では一部をスプレッドシートで管理しており、今後の運用については、業務の状況を見ながら整理していく考えとのことです。 杉本さんは、今後の活用について、「使いながら、自分たちの業務に合った形を少しずつ整理していきたい」と話します。機能を知ること自体よりも、実際の業務にどう落とし込むかという点で、TaxDomeのサポートチームによる運用支援に加え、ワークショップやウェビナーといった形で活用方法を確認できる機会があることで、理解を深めていけるのではないかと考えているとのことです。 また、最近では社労士のスタッフが加わり、税務に加えて労務の視点から業務フローを見直す場面も出てきました。こうした変化を踏まえ、杉本さんは「税務だけでなく、労務の業務も含めて、どこまで同じ基盤で管理できるのかを考えていきたい」と話します。ツールを使いこなすこと自体を目的とするのではなく、事務所の業務に合った形を探りながら、税務に加えて労務の業務も視野に入れ、TaxDomeの活用範囲を段階的に広げていくプランだとのことです。 事務所の成長とともに、DXとどう向き合っていくか 杉本聖税理士事務所の事例から見えてくるのは、DXを特別な取り組みとして捉えるのではなく、日々の業務や事務所の変化に合わせて、少しずつ整えていく姿勢です。医療・建築分野を中心とした専門性の高い業務、人員構成の変化、顧問先との関わり方の多様化。そうした状況のなかで、業務の進め方や情報管理のあり方を見直し続けることが、事務所運営そのものの品質につながっています。 […]