税理士の仕事はAI活用で減る?AIによる業務の効率化も!
以前よく話題となっていたAIによって多くの職業が消えてしまうという衝撃的な未来予測は、まだ皆さんの記憶に残っていることでしょう。AIが革新的なテクノロジーであることは間違いありませんが、実際にどのような変化をもたらすのでしょうか。
この記事では、AIの進化と活用が税理士の未来にどのような影響を及ぼすかについて考えていきたいと思います。
目次
なぜ「税理士はAIに代替される」と言われるのか?
近年、「税理士の仕事はAIに代替されるのではないか」といった声を耳にする機会が増えています。その背景には、AIやクラウド技術の進化によって、仕訳入力やデータチェック、書類整理といった定型的な業務が自動化されつつあることがあります。
一方で、こうした動きは単なる“代替”ではなく、税理士 DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れの一部として捉えることができます。AIの導入は、業務全体を見直し効率化を進めるための手段のひとつであり、定型業務の負担を減らすことで、税務判断や顧客への提案といった、より専門性の高い業務に注力できる環境づくりにつながります。その結果、税理士業務の将来性は、作業量ではなく、どのような価値を提供できるかによって左右されるようになりつつあります。
オックスフォード大学の論文による衝撃
2013年にオックスフォード大学の研究者が発表した論文「THE FUTURE OF EMPLOYMENT」(雇用の未来)では、AIの導入により702種類の職業が代替されると予測されました。その中には税務や会計に関連する次の業務も含まれていました。
- 確定申告代行者:納税者に代わって所得税の確定申告書を作成・提出するという業務を行い、必要書類の収集、所得や控除の計算、税額の算定といった税務手続きを担います。
- データ入力係:会計システムに領収書の情報などの財務データを入力する役割です。
- 簿記、会計、監査担当者:企業や個人の財務記録を管理し、月次・年次決算や財務諸表の作成、内部監査など、財務状況の把握をする専門家です。
- 給与支払い業務担当者:社員の給与計算や支払いを管理し、労働時間の集計や手当・控除の計算、給与明細の発行、税金や社会保険料の納付などを担当します。
当時は会計ソフトの普及は進んでいたものの、データ入力作業は主に手作業で行われており、「AIには無理だ」と言われていました。しかし、現在はクラウド会計ソフトが広まり、オンラインで入力作業・仕訳業務が行えるようになり、「AIが税理士の業務を奪う」という議論が、より現実味を帯びて語られるようになっています。
エストニアの電子政府化と税理士業務の変化
デジタル政府の先進国として知られるエストニアでは、AI技術の導入により税理士の業務が消えると言われています。エストニアでは、納税者のデータをAIが自動的に解析し、税務申告書を作成するシステムが運用されています。
このシステムによって、従来税理士が手動で行っていた多くの作業が自動化され、より迅速かつ正確に処理されるようになりました。
さらに、リアルタイムで監査機能を提供しており、不正やエラーを即座に検出できるため、エストニアでは、税理士が担っていた業務の一部が自動化され、コンサルティングや高度な財務アドバイスへと業務の重心が移っていると言われています。
この事例は、AIが税理士の業務にどのような変革をもたらすかを示しており、他の国に示唆を与えています。
クラウド会計とAI-OCRの普及
近年、クラウド会計ソフトの普及により、会計・税務業務のデジタル化が急速に進んでいます。銀行口座やクレジットカード明細と連携し、取引データを自動で取得・仕訳する仕組みが一般化したことで、手作業による入力や確認作業は大幅に削減されつつあります。
さらに、AI-OCR(光学文字認識)技術の進化により、領収書や請求書といった紙の証憑データも自動的に読み取れるようになりました。スマートフォンで撮影した画像やPDFデータから、日付・金額・取引先などの情報を抽出し、会計データとして活用できるため、証憑整理や入力作業にかかる負担を軽減できます。
こうしたクラウド技術とAI-OCRを組み合わせた自動化は、会計・税務業務のスピードと正確性を高めるだけでなく、人的ミスの防止にもつながります。一方で、最終的な判断や確認、顧客ごとの状況を踏まえた対応については、引き続き税理士の専門知識と経験が重要な役割を果たします。
AIでは対応できない税理士ならではの業務
AIは単純作業や定型的な処理に強みを持っていますが、AIでは対応できない業務も存在しています。今後AIのさらなる進化が期待される中、税理士としてはより付加価値の高い業務に注力し、顧客の満足度を向上させるための対策を考えていくことが重要といえます。

経営へのコンサルティングと意思決定支援
AIは過去データの分析や数値処理を得意としますが、企業の置かれている状況や経営者の意向を踏まえた意思決定支援までは担えません。事業フェーズや将来計画に応じた助言、経営判断に寄り添ったコンサルティングは、税理士の経験と視点が不可欠な領域です。
AIが苦手な「共感」を伴うコミュニケーション
顧客との対話や相談対応では、数値や制度の説明だけでなく、不安や迷いに寄り添う姿勢が求められます。AIは情報提供を行うことはできても、相手の感情を汲み取り、信頼関係を築くコミュニケーションを完全に代替することはできません。
税務調査対応や複雑な判断を伴う業務
税務調査への対応や、グレーゾーンを含む複雑な税務判断は、画一的なルール処理では対応できないケースが多くあります。状況ごとの判断や説明責任を伴うこうした業務こそ、専門家としての税理士が価値を発揮する分野であり、報酬が支払われる理由のひとつでもあります。

税理士事務所が導入すべきAI・自動化ツールの活用事例
税理士という職業は、コミュニケーション能力や高度な専門知識が求められるため、AIが完全にその役割を担うことは難しいことをお伝えしました。
しかし、AIの特性を理解すれば、税理士業務を支援する頼もしいパートナーとなるでしょう。このセクションでは、税理士がAIを活用する利点について説明します。
生成AI(ChatGPT等)による文書作成・情報収集の効率化
近年、生成AIの活用により、税務や会計に関する情報収集、定型的な文書作成の効率化が進んでいます。たとえば、一般的な質問への回答案の作成や、説明文・下書きの生成などにAIを活用することで、業務にかかる時間を短縮することが可能です。ただし、最終的な確認や内容の正確性については、引き続き専門家による判断が求められます。
記帳・入力業務の自動化と会計ソフトの活用
クラウド会計ソフトの進化により、銀行口座やクレジットカード明細の連携、仕訳の自動生成など、記帳や入力作業の自動化が進んでいます。また、AIによるデータ処理技術を活用することで、大量の取引データを効率的に処理・分類できるようになり、従来は時間を要していた作業負担を軽減できます。こうした自動化は、会計ソフトの進化によって実現している代表的な例です。
顧客管理・タスク管理の自動化
税理士業務では、顧客ごとの対応状況やタスクの進捗、必要書類の回収状況などを継続的に管理する必要があります。これらを手作業や複数のツールで管理していると、対応漏れや属人化が起こりやすくなります。
こうした課題に対し近年では、顧客対応、タスクの進行管理、書類の回収や確認といった業務を、実務の流れに沿って整理・自動化できる業務管理ツールを活用する動きも見られます。TaxDomeのように、税理士業務のオペレーションを前提に設計されたツールを活用することで、日常業務の負担を抑えつつ、税務判断や顧客への提案といった、より付加価値の高い業務に時間を割きやすくなります。
AIを活用して「選ばれる税理士」になるには
記帳代行から「付加価値業務」へのシフト
AIや自動化の進展により、記帳や入力といった定型業務は効率化が進みつつあります。こうした環境の変化の中で、税理士に求められる役割も少しずつ変わり始めています。単純な作業量ではなく、税務判断や事業の状況を踏まえた助言など、専門性や経験を活かした付加価値の提供が、これまで以上に重要になっています。
AIを活用することで、時間を要していた定型業務の負担を抑え、その分を顧客への提案や課題整理といった業務に充てることが可能になります。これは、税理士業務の質を高めるための一つの方向性といえるでしょう。
空いた時間で顧客接点を増やす重要性
業務の効率化によって生まれた時間をどのように使うかは、今後の税理士事務所の価値を左右するポイントです。顧客との定期的なコミュニケーションや、状況に応じたフォローを行うことで、信頼関係の構築や長期的な関係づくりにつながります。
AIは顧客対応そのものを置き換えるものではありませんが、人が向き合うべき時間を確保するための手段として活用することができます。こうした取り組みを通じて、顧客から「選ばれる税理士」としての存在感を高めていくことが求められています。

まとめ
働き方改革への対応や、インボイス制度、電子帳簿保存法の改正などを背景に、会計事務所においても業務の生産性向上がこれまで以上に求められています。こうした環境の中で重要になるのが、AIを活用して定型業務の負担を抑え、その分を付加価値の高いサービスに振り向けていくという考え方です。
生産性の高い事務所では、業務フローの見直しやアウトソーシングの活用によって作業時間を短縮し、空いた時間をスタッフのスキル向上や、顧客への提案・支援といった高付加価値業務に活用しています。AIや自動化は、こうした取り組みを支える手段のひとつといえるでしょう。
その際、個々の作業を部分的に効率化するだけでなく、事務所全体の業務を一つの仕組みとして整理・自動化していく視点が重要になります。タスク管理やプロジェクト管理、顧客とのコミュニケーションなど、日常的に発生する業務を横断的に管理できる環境を整えることで、継続的な生産性向上につなげやすくなります。
税理士事務所の生産性を上げるには、AI機能も取り入れられた「TaxDome(タックスドーム)」の導入がおススメです。TaxDomeは、プロセスの自動化に重点を置き、税務や会計を含む士業事務所の業務効率を向上させるために設計されたクラウドベースの業務管理ツールです。
TaxDomeを導入することで、事務所内のタスクやプロジェクト管理、顧客とのコミュニケーションなど、事務所運営の大部分を自動化することが可能となります。米国でスタートしたTaxDomeは、グローバル市場で1万を超える事務所により利用されており、2024年春には日本版がリリース。DX化の必要性が特に謳われる日本国内においても、既に多くの税理士・会計事務所で運用がスタートされています。無料トライアルや製品デモも提供されているので、気になる方は導入検証をされることをオススメします。
士業事務所の業務改善やクラウド活用に関する調査・分析に携わる立場から、
バックオフィス改革やDX推進に役立つ実務的な情報を発信。専門分野は、会計・税務分野のクラウド化と業務フローの最適化。
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